ALL-CITY FUN MEETING 2016 #2 KOBE ~レポート

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【プロローグ】 アーバントレイル。それは、都会のなかにひそかにたたずむトレイルバイカーの隠れ家である。たとえば東京だって都市公園や河川敷に、そんなトレイルはいくらでもある。仕事の行き帰りや、それほど時間がない休日に、トレイルを走りたいという欲求を満たしてくれるのが、そんなアーバントレイルなのだ。

ALL-CITYが生まれたミネアポリスの町は、まさにアーバントレイルの宝庫。数多ある湖の横には、必ずといっていいほどトレイルがある。少しだけ郊外に走れば、白頭鷲がくらす森林のなかに敷かれた痛快なシングルトラックだって存在する。

トラックバイクのブランドとして生まれたALL-CITYだが、じつはブランド創始者のジェフ・フレインは、大のマウンテンバイク好きなのだ。「ぜったいマウンテンバイク作るでしょ?」。そんな意地悪な質問を5年ほど前から繰り返した。「作るわけないじゃん。おれたちはアーバンバイクが専門なんだぜ」って具合。

そして、2015年、ALL-CITY初のトレイルバイク〝JYD〟が誕生した。これは29erのシングルスピードフレームで、もちろんクロモリスチール製だ。しかもディスクブレーキ台座なし。なかなか男前なのだ。「やっぱ作ったね?(笑)」。「あ、これはアーバントレイルバイクなんだよ。マウンテンバイクじゃないんだ。分かる?」だってさ。それから1年。彼らは2台目となるLOG LADYのフレームを発売した。シングルスピードにこだわりながら、今度は27.5インチのホイールを履き、さらなるハンドリングのキレを手中にした。

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【本編(長久手、いや、長くてすみません)】 7月。名古屋地方が摂氏35度に達した午後、ALL-CITYアンバサダーのコッシーから連絡が入った。「8月中にアレをやりたいんですが都合はいががでしょう…」。アレとは、前回、広島のGRUMPYをベースに盛り上がった〝ALL-CITY FUN MEETING 2016〟のこと。「第2回は、神戸でアーバントレイルライドでいきましょう!」との提案を受けた。BMX出身で今はシクロクロスに熱中し、普段はロードバイクでトレーニングを積むというオールラウンダーのコッシー。何を隠そう、このミーティングは、彼のアイデアとフットワークの良さだけで成り立っているのだ。

2016年8月11日(祝)。トントン拍子で日程が決まった。「コッシーさすがだね。山の日にするとは」、「え、そうなんすか。知りませんでした」。同様に山の日であることを知らなかったという神戸市三宮近くのプロショップ【SPARK SCONE&BICYCLE】オーナーの富田功さんの全面的な協力で、FUN MEETING #2の開催日がほどなくやってきた。

朝8時前。晴れてはいるが、さすがは港町。風が涼しい。少し早めにお店に到着すると、オーナーの富田さんは、すでに自転車の陳列を終え、開店準備万端だった。店の前には、ドロップハンドル仕様のJYDと、おろしたばかりのLOG LADYが鎮座している。店のテラスにALL-CITYのバナーを張り付け、アニュアルを並べれば準備完了。すぐにコッシーがやってきた。なにやら動画を撮影しながら。世間話をしていると、次々に参加者がやってきた。ハードテールの26インチバイクに乗ったローカルライダーが大多数を占める。

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コッシ―の挨拶のあと、富田さんの先導でスタート。六甲山に向かっていきなり登り。アスファルトの坂道が傾斜を増すとすぐに神社の参道に至る。皆様、自転車を担いでせっせと上る。神社の脇の細道を超え、落石防止のネットのトンネルをくぐる。そして、小川に沿ったうっそうとした道を行くとすぐに未舗装になった。道幅は狭くなり、いわゆるシングルトラックになる。階段、シングルトラック、ハイキング道。これを繰り返すうちに、茶屋のような場所にたどり着いた。皆様、普通に自転車を止め、店の中に入る。「ここなんですか?」と富田さんに聞けば、「あ、ここね。最初の目的地。朝メシポイントなんですよ」。

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皆は、なにやら注文して、食事が出るのを待っている。それを待ちきれないコッシーは、店の手前でおでんを購入。そして、運ばれてくる料理は、卵焼き、メシ、味噌汁。ここの定番がコレらしい。これがやたら、うまそうなのだ。それを見たコッシ―は我慢できない様子で、店の中に発注しに出かけた。数分後、コッシーは目の前に並べられた卵焼きに醤油をぶっかけ、それを丼にのせて、オリジナルの卵丼を完成。根っからクリエイティブな男なのだ。

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腹がいっぱいになっても、登りは続く。押し、担ぎ、そして、たまに乗って。そんなことを繰り返しているうちに、林間の広場についた。そこが当初の目的地なんだとか。記念撮影をしたり、コッシー、富田さん、そして、MXの3台のLOG LADYを乗り比べたり。もとは同じ完成車の3台だが、タイヤがみな違っていた。コッシーは、チューブレスの軽量仕様、富田さんはノーマル、そして、MXは、SURLYが誇る3インチ幅の+規格タイヤを装備。走りの軽さではコッシー、バランスでは富田さん、そしてダートの安定感と乗り心地ではMXという具合。同じフレームでも、ここまで走りに差が出ることに、皆さま驚いていた。

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コッシーのアイデアで、一行はさらに奥地を目指した。森のシングルトラックを上ると、バンクが続くトレイルが出現した。押して上っては下り、それを1時間ほど皆で楽しんだ。「マウンテンバイク最高!」「マジトレイルキモチエー」そんな声が響いた。しこたま遊びたおし、山を下った。

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それがヤバいのなんの。幅30㎝ほどの下りキャンバーの先は谷、とか、急な根っこエリアがあれば、長いジープロードもある。これほど変化にとんだトレイルも珍しい。上った分だけ下れるわけで、腕がパンパンになるほど下りを満喫できた。ひたすら下った後に、急に視界が開け、目の前に青空が広がった。そこからすぐ目の前に神戸港がみえた。「あ、そっか。ここ神戸だったんだ」。そのとき、そこが日本屈指のアーバントレイルであると確信した。

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美味しい店がゴロゴロあるような都会から、裏山目指し自分の力で登り、自分のワザを頼りに下る。しかも、そんな都市隣接のトレイルを自転車が走ることを行政がちゃんと認めているところが素晴らしい。

「六甲山は、もともと海外から移住した人たちが、レジャーのためにハイキング用のトレイルを作ったんですよ。そんな歴史が今も残っていて、登山だけでなく、マウンテンバイク乗りにも開かれているんです」と富田さん。文化都市というにふさわしいインテリジェンスを感じさせられた。神戸最高!

もっとも、今回のライドの途中も、ハイカーがいたら押して歩いたり、挨拶をしたり、ローカルライダーが先頭に立って、見本を示してくれた。そういう地元の人の心づかいの積み重ねなしに、こういうトレイルを走ることは許されないのだろう。ローカルの皆様に感謝。

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ショップに帰着すると、皆は、記念品を受け取り、そそくさと店内へ。エアコンの効いた室内で、美味しいスコーンとアイスコーヒー&ティーでまったりしていた。この店のスコーンは、お世辞抜きでかなり美味いので、神戸に行ったらぜひ食べていただきたい。その後も、今日のライドの話をしたり、ファッションや自転車について語り合ったり、INSTAGRAMのIDを交換したり。ゆるりとした時が流れていた。

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クルマに積んで行かなければトレイルライドはできない。なんてことがないことを、この日のライドは証明してくれた。街を走っても、トレイルを走っても、心弾むバイク。そんなものが1台あれば、それで十分なのだ。

(写真・レポート/ライター 山本 修二)

IMG_8165_R Special thanks to Kobe loco riders!

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この記事を担当したのはMotocross International Ltd.です。

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